タブロイド紙のフリーペーパー【活用事例】をターゲット読者層別にご紹介
タブロイド紙の記事にはWebコンテンツにはない説得力があり、ネット全盛の現代でもその存在感を失っていません。この記事では、タブロイド紙の特徴を生かした発行事例をターゲット別にご紹介しています。販促媒体としてタブロイド紙を検討されている企業や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
タブロイド紙とは
タブロイド紙とは、朝日、読売などのブランケット判新聞の1/2サイズ(ヨコ406×タテ546mm)の新聞のことです。
英国の大衆紙の判型として誕生しましたが、「手に持って開きやすく、読みやすい」「地下鉄で読むのに最適」などのメリットが評価されて、高級紙にも採用されるようになりました。
日本では「夕刊フジ」「日刊ゲンダイ」などの駅売りの夕刊紙や、地域情報紙、企業の販促媒体などによく使われています。4ページ、8ページ、16ページなど、必要に応じてページ数を自由に増減できるメリットもあります。
女性層 / おりづるタワーの「HOT!」
「HOT!」は、広島市の複合商業施設「おりづるタワー」(地下2階、地上14階、高さ51.5m)が発行するタブロイド紙です。
「おりづるタワー」は先ごろ世界遺産に指定された原爆ドームの東90mの位置にあり、館内には展望台、カフェ、バー、物産館などの商業施設やイベント会場、展示場、貸し会議室などがあります。2Fから11Fはオフィス用のテナントです。
「HOT!」は年4回発行の季刊紙で「おりづるタワーで配布されます。発行母体はタワーを運営するカーディーラーの広島マツダです。
主な読者層は、館内のカフェや物産館を訪れる女性や観光客で、記事ではカフェの新メニュー紹介や屋上展望台で開催されるイベント案内、季節のグルメ情報などを特集やコラムで掲載しています。
●記事の例
「マチナカ GLAMPING」2019年冬号
屋上展望台で開催されているグランピング(手軽なキャンプ)体験イベントに合わせて、グランピングの楽しみ方などを特集しています。
「握手カフェの新メニュー」2018年春号
1Fカフェテラスにある「握手カフェ」で開催中の「さくら&ストロベリーフェア」で提供される春の新メニューを紹介。 連載記事には、おりづるタワーで働くスタッフがリレー形式でエピソードを書きつなぐタを繋ぐ「織り人(おりびと)」があります。
シニア層 / マンション管理、メンテナンスの情報紙「アメニティ」
「アメニティ」は、1都3県の約600棟の分譲マンションの管理組合と居住者に配布される、マンション管理とメンテナンスの専門情報紙です。発行部数は約10万部で、1982年創刊され39年の歴史があります。
毎月5日に月1回発行される「アメニティ」は基本8ページ立てで、快適なマンションライフを送るための生活情報(結露対策、防犯の心得など)を提供するとともに、高度成長期に建設された多くのマンションが補修やリフォームを必要としていることを踏まえて「計画的な補修」の情報などを伝えています。
創刊当時は30代~40台が主な読者層でしたが、現在は60代~70代のシニア層がメインの読者層になっています。
●記事の例
・マンションの侵入・窃盗対策
・コロナ禍での快適なマンション暮らしの工夫
・管理組合と住民の接点を広げるには
・マンションのネット回線改修事例
・専有部分のバリアフリーリフォーム
住民にシニア層が増えたことで、生活情報では健康維持や介護に関する情報を望む読者の声もあるといいます。
ビジネスパーソン・経営者 / 「ビジネス香川」
「ビジネス香川」は2007年に創刊されたタブロイド判8ページのビジネス情報紙で、月に2回(第1・第3木曜日)発行され、香川県内の日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞に挟み込まれて宅配されます。発行部数は約8万部。
新聞折込のほかに、高松空港、JR四国高速バスなどの交通機関、高松商工会館や高松市図書館などの公共施設、セブンイレブン、ファミリーマートなど、県内約40ヶ所でスタンド配布されます。
「ビジネス香川」のメイン記事は、香川県に拠点を置く企業のトップへのインタビューで、これまで1,000人以上の有名企業、老舗企業、ベンチャー企業の経営者を取材してきました。
香川の「いまを伝え、未来を育てる」を編集コンセプトに、地元経済の力・魅力を再発見し、香川経済を振興するための情報流通の場にすることを目指しています。
制作、発行しているのは「株式会社朝日オリコミ四国」で、自社の編集スタッフが取材・撮影から記事制作・編集まで行っています。
●連載記事の一例
「PrimePerson 」: 香川県内の有名・老舗企業の経営者インタビュー
「Next開拓魂」: 香川県内の起業家、若手経営者を取材
「It’sme!それは私です」 : 全国規模の企業の四国・香川の拠点の代表者を取材
地域情報紙 / 「せんしゅうプレス」
「せんしゅうプレス」は、大阪府南部の泉州地域(和泉市、岸和田市など6市3町)で、4大新聞(朝日・毎日・産経・読売)に毎月第1日曜日に一斉折込されます。創刊は2019年5月で発行部数は約10万部。公共機関や医療機関でもスタンド配布されています。
記事内容は、地域に関する政治経済や医療、福祉、教育の情報、イベント案内などです。
●記事の一例
・岸和田ビジネスサポートセンター/開設3ヶ月半で相談件数300件突破
・泉佐野市が認知症の個人賠償責任保険を公費負担
・府中病院(和泉市)眼科棟が「府中アイセンター」を開設
・和泉市立総合医療センターが『おおさか環境にやさしい建築賞「大阪府知事賞」』を受賞
ターゲットにマッチした記事内容で「愛読者」を増やそう
ターゲットには「富裕層」というセグメントもあるべきでしょうが、本記事のためにリサーチした範囲では、「富裕層向けのタブロイド判フリーペーパー」の事例は見当たりませんでした。富裕層向けの無料媒体は数多くありますが、どれも新聞型ではなく、上質な用紙にカラー印刷された雑誌型のものです。
しかし、この事実(傾向)から、富裕層向けにはタブロイド紙が不向きだと判断するのは早計かもしれません。むしろそれは、訴求する側の先入観にすぎない可能性があります。豪華で美しい雑誌型のビジュアルに飽きた読者は、タブロイド判の「記事」に新鮮さを感じ、信頼感を抱くかもしれないのです。
女性層や高齢者層がターゲットの場合も、「いわゆる女性向き」や「いわゆる高齢者向き」の編集には十分注意する必要があります。どこにでもありそうな紙面構成、記事内容では、「読む気」を喚起させるパワーがありません。ターゲットにマッチした記事内容で「愛読者」を増やす編集、記事づくりが何より大切です。