タブロイド判PR紙の記事の書き方
タブロイド紙の自社媒体を発行する際に、記事制作を外注すると高額な費用がかかり、発行を継続する負担が大きくなります。
社内に記事制作のスキルやノウハウを蓄積していけば、むしろ外注よりも「手作り感」のある良いタブロイド紙に成長していく可能性があります。 この記事では、初めて社内でタブロイド紙を制作する方に向けて、記事の書き方の基本をわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
台割を作り、記事のボリューム(使うページ数)を決める
タブロイド紙は新聞紙型を用いた雑誌です。雑誌の編集・制作は、まず台割を決めることから始まります。
台割を決める
タブロイド判に限らず、新聞や雑誌の記事制作の土台になるのが「台割」です。4ページ、8ページ、12ページ、16ページなど、決められたページ数のどこに、どれくらいのボリュームで記事を入れるかを決めるのが台割です。 台割はExelやGoogleスプレッドシートで作って、随時記入し、制作メンバーで共有します。
スケジュールを立てる
上記の台割見本を見るとわかるように。台割はスケジュール表でもあり、進行管理表でもあります。
「取材アポ」「取材」などを完了したら、日付の上に/(スラッシュ)を入れて、進行状況を可視化します。 最終の校了日は決められていることが多いので、それに向かって段取りよく仕事を進めるために、台割管理は必須です。
台割作成は企画を立てることでもある
台割の作成は同時に、その号の企画を立てることでもあります。新聞や雑誌の編集者は、台割が決まると、ひとまずホッとします。「あとはやるだけ」の状態になるからです。
逆に、台割が決まらないまま(未定のページがあるまま)仕事を進めるのはたいへん不安です。 台割は途中で変更することも可能なので、全ページを埋めた状態でスタートしましょう。
下調べと取材
台割ができたら、記事を書くための下調べと取材をします。
記事のボリュームによって取材や資料を集めの密度を加減
記事を書くためには、資料集めや人への取材など、広い意味での「取材」が欠かせません。記事のボリュームによって必要な取材の密度が違うので、下調べなどに要する時間配分を考えておきましょう。 準備不足で人への取材をすると、記事を書く段階で「追加取材」をしなければなりません。電話取材で追加取材ができる場合もありますが、取材相手によってはそれも無理なことがあります。
取材の前に「聞きたいこと」を整理しておく
人への取材の場合は、記事のテーマを意識して、聞きたいこと、聞くべきことを整理して箇条書きにしておきましょう。 実際に取材をしていると、相手のキャラクターやその場の雰囲気によって、話があらぬ方向に流れてしまうことがあります。「聞くべきことの箇条書き」はそんなときの軌道修正に役立ちます。
録音に頼らずメモをとる
取材時の録音は、原稿を書くときの確認に役立ちます。相手の了承を得て、なるべく録音するようにしましょう。
しかし、録音があるからと言ってメモを取らないのはよくありません。録音に頼ると、記事の執筆に時間がかかるからです。中には、録音を文字起こししてから記事を書く人もいますが、それはたいへんな時間の無駄遣いです。
メモを見て取材内容を思い出して記事が書けるのが理想です。
また、メモと言ってもバラバラになるメモ用紙やルーズリーフ用紙などで取材メモを取るのはNGです。大判の大学ノートで、余白を取りながら話のポイントをメモしましょう。 綴じられた大学ノートは、取材の時系列が混乱しないのがメリットです。
記事を書き始める前に、構成を決めてレイアウトをしてしまう
取材が済んだら記事の制作です。その際は、実際に記事(文字)を書き始める前に、構成を決めて、おおよそのレイアウトをしてしまいます。
記事の構成を決める
記事は、見出し、リード、中見出し、本文、写真(画像)という要素で作られます。この中でまず最初にやるのは「中見出し」を何本か立てることです。 中見出しを立てるのは、記事の構成を決めるためです。記事のポイントが3つある場合は3本中見出しを3本立てて、記事の大枠を決めてしまいます。
レイアウト用紙に手描きでおおよそのレイアウトをする
中見出しを立てたら、レイアウト用紙に見出し、リード、中見出し、本文、写真(画像)を配置(レイアウト)します。
デザイナーがレイアウトしてくれる場合も、おおよそのレイアウトをしてデザイナーに渡すと、狙い通りの紙面になります。 レイアウト用紙は、Microsoft OfficeのWordやPowerPointに、新聞台紙のテンプレートがあります。デザイナーがいる場合は、DTPソフトから台紙を作ってもらいましょう。
記事を書く
記事を書くときは、大見出しやリードで悩んで時間を使わずに、決めた中見出しに従って本文から書き始めます。本文を書き終えてから、その内容をふまえて大見出し、リード、写真説明を書きます。
大見出しと中見出しは「本文を読まなくても記事の内容が想像できる」ように書くのがコツです。リードも同じで、この記事で何が書かれているかを要約して提示します。
本文を書くときは、下記の点に注意すれば読みやすい文章になります。
- 1文を短く、原則50字以内に抑える
- 1文1意、あれこれ詰め込まない
- 結論を先に書く
- 結論の後に理由・根拠を書く
- 理由・根拠の後に事例・具体例を書く
タブロイド紙に限らず新聞や雑誌を読む読者の姿勢は、基本的に「流し読み」です。意味が取りにくい文章はストレスになるので、すぐに読むのを中止してしまいます。
読みにくい文章の代表と言えば六法全書の法律条文ですね。法律の条文がなぜ読みにくいかというと、解釈の幅を排除しようとするからです。人によってはああも読める、こうも読めるという可能性を完全に排除しようとすると、素人には意味不明の長たらしく、不思議な文章になります。 タブロイド紙の記事を書くときは、法律条文のような「用心深さ」は必要ありません。情報が正確であることは非常に重要ですが、説明しつくそうとすると読みにくい文章になります。
まとめ
タブロイド紙を編集し、記事を書くのは、慣れないうちは苦労の多い仕事です。しかし、良い記事を書いて、読者の反応があると、その苦労が吹き飛ぶ喜びがあります。
この記事でもっとも大切なポイントは「まず台割をきちんと作る」です。台割が作れるようになれば、あなたはもう立派な編集者だと言っても良いでしょう。