タブロイド判の印刷用紙の厚さと重さを解説!厚さごとの使用例をご紹介!
タブロイド判などの印刷物を注文・発注する際には、用紙の種類だけではなく、厚さも選ぶ必要があります。
印刷業界で用いられる用紙の厚さの表記は、「mm(ミリメートル)」ではなく、「kg(キログラム)」で表されることが一般的です。
しかし、印刷物をはじめて注文される方や馴染みのない方にとって、「コート紙○○kg」や「上質紙○○kg」という重さの単位を見ても、イメージできないという方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、タブロイド判の代表的な印刷用紙の厚さと特徴、印刷物に適した用紙の厚さをご紹介してきます。
連量(斤量)とは
連量(斤量)とは、規定サイズの原紙を1,000枚重ね合わせた束の重量を表しており、単位は「kg(キログラム)」で表記されます。
印刷業界では一度の取引で大量の用紙を取り扱うため、用紙1枚あたりの重さではなく、1,000枚あたりの重さを表す「連量(斤量)」という用語が使用されています。
印刷物に使用される用紙にはさまざまな種類がありますが、一般的に四六判(788×1,091)または菊判(636×939)の規定サイズでの表記に統一されています。
連量(斤量)は、重いほどに用紙の厚さも増しますが、同じ厚さの用紙でも原紙の種類や規定サイズが異なると連量も変わるため注意しましょう。
印刷用紙の厚さの目安と特徴
ここからは、タブロイド判で使用される5種類の代表的な用紙、「コート紙」「マット紙」「上質紙」「新聞更紙」「高白更紙」の厚さの目安と特徴をご紹介します。
コート紙
「コート紙」の厚さは「約0.08mm~約0.14mm」と幅広く、印刷用途に合わせた好みの厚さを選択することが可能です。
「0.08mm」の厚さとは、家庭などで使用されるコピー用紙と同程度の厚さで、カタログや雑誌などのページ数が多い冊子に適しています。
また「0.14mm」の厚さは、写真集や卒業アルバムなどのページ数が少ない、重厚感のある冊子に使用されることが多い厚さです。
コート紙は両面に光沢加工を施した印刷用紙で、加工により表面が滑らかなため印刷インクとの相性が良く、カラー印刷では鮮やかに仕上げることができます。
一方で、光沢加工で表面がツルツルとした質感のため、ボールペンによる文字の書き入れには不向きな印刷用紙です。
マット紙
「マット紙」の厚さは「約0.07mm~約0.30mm」と非常に幅広いバリエーションがあることが特徴で、厚さに応じて使用用途は多岐に渡ります。
「0.07mm」は新聞の折り込みチラシ、「0.08mm~0.10mm」はパンフレットやポスター、「0.24mm~0.30mm」ともなると、ハガキや名刺、診察券などで使用されます。
マット紙は表面に艶(つや)消しのコーティングがされているため光沢感が抑えられており、カラー印刷は落ち着いた色合いになります。
また、コート紙では不向きだったボールペンによる文字の書き入れも可能な印刷用紙です。
上質紙
「上質紙」が対応する厚さは「約0.08mm~約0.17mm」と豊富で、使用用途によって使い分けることで、取り扱いやすい冊子に仕上げることができます。
上質紙の「0.08mm」はページ数が多い読み物向けの厚さで、小説や論文集、学校で配布するプリントなどの冊子に適しています。
一番厚手の「0.17mm」は、アルバムや楽譜などのページ数の少ない冊子に使用されることが多い厚です。
上質紙は表面に塗料が塗布されていないため光沢感が少なく、カラー印刷した場合、コート紙やマット紙と比べて落ち着いた色合いで印刷されます。
ボールペンによる書き入れも可能な印刷用紙ですが、薄手の上質紙では破れる可能性もあるため、書き込みを想定する場合は、ある程度の厚さの用紙を選びましょう。
新聞更紙
「新聞更紙」の厚さは一般的に「約0.05mm~約0.10mm」で、他の用紙と比べて厚さのバリエーションの少ない印刷用紙です。
新聞更紙とは新聞巻取紙とも呼ばれており、古紙などをリサイクルして作られる再生紙のため環境に優しい印刷用紙です。
新聞更紙は輪転機により印刷されるため引っ張りに対して強く破れにくい反面、湿気などの水気には弱く、長期保存には不向きな印刷用紙だといわれています。
高白更紙
「高白更紙」の厚さは「新聞更紙」と同様に「約0.05mm~約0.10mm」で、厚さのバリエーションは少ない印刷用紙です。
非加工紙と呼ばれる用紙表面を加工していない印刷用紙のため、表面はザラザラとした質感で、いわゆる新聞紙のような手触りをしています。
古紙を再生して作られているため、価格は他の印刷用紙と比べてリーズナブルで、低コストで大量印刷したい場合に向いている用紙です。
印刷物に適した用紙の厚さ
ここからは、タブロイド判の代表的な使用用途である「チラシ」「パンフレット」「フリーペーパー」「広報誌」「ミニコミ誌」に適した用紙の厚さをご紹介していきます。
チラシ(0.07mm~0.13mm)
新聞折り込みやポスティングのチラシには、厚さ0.07mm~0.13mm程度の印刷用紙を選ぶと良いでしょう。
用紙は一般的に厚いほどに値段が高くなるため、新聞折り込みやポスティングなどで大量に配布したい場合は、0.08mm~0.10mmの用紙を選ぶことでコストを抑えることができます。
また、他のチラシよりも上等な印象にしたい場合には、0.10mm~0.13mmの用紙にすることで、両面印刷でも透けにくく、力強いチラシに仕上げることが可能です。
広報誌(0.08mm~0.17mm)
広報誌に使用する印刷用紙は、ページ数が多い場合には0.08mm~0.10mm、ページ数の少ない冊子では0.13mm~0.17mm程度の厚さを選ぶと良いでしょう。
ページ数の多い冊子にも関わらず厚手の用紙を採用してしまうと、ページがめくりにくい、冊子全体が重く扱いづらいなどの問題が発生します。
一方でページ数が少ない冊子に薄手の用紙を採用すると、ペラペラとしており安っぽい印象となってしまいます。
複数ページある冊子の場合には、表紙や裏表紙に厚手の用紙を採用して、本文には薄手の用紙を入れることで、品質を保ちながらコストダウンを図れます。
ミニコミ誌(0.10mm~0.17mm)
ミニコミ誌で使用する用紙は、取り上げる情報量に応じて0.10mm~0.17mm程度の厚さを選ぶと良いでしょう。
ミニコミ誌は社会に広く情報発信をすることを目的とした冊子なので、読み物として、しっかりと読み込んで貰う必要があるため、ある程度の力強さが求められます。
取り上げる情報量(ページ数)と扱いやすさのバランスを見ながら、薄すぎず厚すぎない、丁度良い印刷用紙の厚さを吟味しましょう。
パンフレット(0.10mm~0.20mm)
折り込みチラシなどと違い、比較的多くの情報量を掲載して長期保存して貰う印刷物であることから、0.10mm~0.20mm程度の厚みのある用紙を選ぶと良いでしょう。
ページ数の多いパンフレットの場合、全てのページを厚手の用紙にしてしまうと、折った部分が割れてしまう「背割れ」が生じてしまう可能性があります。
こういった場合には、上記でもご紹介した表紙と裏表紙の部分だけに厚手の用紙を使用して制作することで背割れを防ぐことが可能です。
フリーペーパー(0.10mm~0.20mm)
タブロイド判で制作するフリーペーパーは紙面が広いため、薄手の用紙を選んでしまうと破れやすく扱いづらい冊子となってしまうことから、0.10mm~0.20mm程度の厚みのある印刷用紙を選ぶと良いでしょう。
印刷用紙は、写真やイラストなどのビジュアル要素の多いフリーペーパーの場合には発色が良く鮮やかな色彩を表現できるコート紙がおすすめです。
反対に活字が多いモノクロ印刷の場合には、印字が綺麗に仕上がる非加工紙の上質紙が適しています。
まずは、取り上げる内容やデザインから用紙を選び、次に用紙が対応する厚さから扱いやすい厚さの用紙を選定しましょう。
まとめ
本記事では、タブロイド判の代表的な印刷用紙の厚さと特徴、印刷物に適した用紙の厚さをご紹介しました。
印刷物は取り上げる記事内容やデザインはもちろん、印刷用紙の選び方でも仕上がりのクオリティが大きく変わります。
使用用途によって用紙の種類や厚さを変えることで、印刷物の高級感や重厚感を演出することが可能です。
本記事でご紹介した用紙ごとの厚さや特徴、使用イメージを参考にしていただけたら幸いです。